『飼育神の棲まう国』 二、魔女「おかえりなさい」柔らかな声は夕食の香りと共に二人を出迎えた。「どうだった? 賑やかだったでしょう」配膳を済ませ、やっと席に着いたズチは二人に笑いかけながら匙を持った。食卓には余り物肉団子のスープ、土産の串焼き、山菜の和え物、川魚の煮つけ、… 一、宿場町・オニ窓からさしこむ光に、目を細める。布越しに見える空は高く、日が昇り切っていることを柔らかに伝えてくれる。青年は数度寝返りを打ち、意識を覚醒させようとする。じわりと浮かび上がってくるのは、身体に張り付く眠気と倦怠感。不快感を拭おうとした手は、汗…