飼育神の棲まう国

五、サンドワーム

山の端に茜が差し始める。鳥たちの盛んな話声が、頭上から無遠慮に降ってくる。薄ら瞼を上げ、ぼやけた視界から今の状況を思い出す。少しの間だけ壊れた窓から見える空を眺める。アバニはタイハクより早く起きていたのだろう。くすんだ馬体で砂浴びをして寛い…

四、西都へ

イロットという土地はとにかく険しいことで有名だ。元国土の七割を山地が占め、海岸沿いは広大な砂丘が覆っている。砂丘を囲うようにして山地が存在するために、他の土地や人々との交流も少ない、極東の小人が住む国。イロット地方の人々はこぞって平野部へ集…

三、小瓶

「お、おばさん、怪我は!?」タイハクが去って少し、呆然としていたオウはその手を掴む。滲む手汗に微かな震え。揺れる瞳を見、オウは思わず言葉に詰まる。「……大丈夫よ」青い顔のままズチは答えた。「その、おばさんたちは知ってたの?」「知らない。けど…

二、魔女

「おかえりなさい」柔らかな声は夕食の香りと共に二人を出迎えた。「どうだった? 賑やかだったでしょう」配膳を済ませ、やっと席に着いたズチは二人に笑いかけながら匙を持った。食卓には余り物肉団子のスープ、土産の串焼き、山菜の和え物、川魚の煮つけ、…

一、宿場町・オニ

窓からさしこむ光に、目を細める。布越しに見える空は高く、日が昇り切っていることを柔らかに伝えてくれる。青年は数度寝返りを打ち、意識を覚醒させようとする。じわりと浮かび上がってくるのは、身体に張り付く眠気と倦怠感。不快感を拭おうとした手は、汗…