三、小瓶 - 2/2

そのまま暗い町へ降り街道に入る。この道をずっと辿っていけば、イロットまで行けると聞いた。しかし身を隠すなら山の方が安全そうではある。どちらへ向かったのか、それらしい痕跡も見当たらない。息を吸って、長く吐き出す。辿ることのできる痕跡はあるだろうか。

北へ行くか南へ行くか。迷った少女の背に、声がかかる。

「よう、こんな時間にそんなカッコで出歩くのはよくないぜー」

「トリベノ、さん……」

「何事? これからちょっと出かける風には見えないけど」

口を閉じたオウに、トリベノは腕を組んで宙を見る。

「もしかしなくてもタイハクか? アイツもうバレたの?」

「トリベノさんは、どうやってタイハクのことを知ってたの?」

「本人が話したわけじゃないんだよ。ちょっと特殊な伝手があって、調べる機会があってな」

「ふーん、そう……」

「で、オウちゃんはどうするんだ?」

「私は……タイハクに用事があるから追いかけないと。どっちに行くか分からないけど……」

「それなら西都だろ。山の方が身は隠しやすいが……馬がいるからな。あれに山道は無理だ」

「そう、なんだ」

「んじゃ西都まで行くのかよ?」

「そうね、そうよ。トリベノさん、あなた西都までの道を知っているのでしょう。案内を頼めるかしら。もちろんただってわけじゃないわ」

そう言ってオウは革袋をトリベノに差し出す。中を改めた彼は瞬きを繰り替えしながら顔を上げた。

「こんなのどこから?」

「女の人がたくさんいたもの。アクセサリーは高く売れたわ。櫛もウケがよかったわね」

「ははぁ、なるほどな……いいとこのお嬢さんだろうに、そういうのに執着はないってか」

「元々それ用よ、きっと。今の私には必要ないだけ。それで、どうかしら」

「いいぜ、乗った。俺だってちと用事があるからな。ついででいいなら、案内するぜ」